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【違いを解説】「山背国」と「山城国」の違いは?いつ・なぜ変わったの?

更新日:7月6日






五畿七道を学ぶときに、みなさん必ず一度は「あれ?」と思われるポイントがこちらです。



五畿は[ 大和国、摂津国、河内国、和泉国、山背国(のち山城国) ]から構成された。



ここですね。



「やましろのくに」という国名に2つの漢字が当てはまることが分かります。



「やましろのくに」と答えさせる記述問題が出たときにどっちで書けばいいんだろう・・・



そういった懸念が生れてしまいがちな箇所ですよね。



ということで今回のテーマはこちらです。



「山背国」と「山城国」とはどう違うのか。また、いつごろから「山城国」の表記が使われるようになったのか。



ということについて解説します!



目次

1.「山背国」の名の由来は?

2.「山城国」となった契機は?

3.「山背国」「山城国」の違い・使い分けは?





1.「山背国」の名の由来は?



古代より、京都南部のその一帯は ‘‘山代(やましろ)‘‘ と呼ばれていたそうです。



そして、そこから南に目を移すと、京都府南部と奈良県北部との境界付近を東西に走る奈良山と呼ばれる丘陵地帯があり、さらにその南部には古代における日本の首都が置かれた平城京が位置していました。



奈良山を挟んで北側に「やましろ」があり、南側に平城京があったのですね。



この説明でだいたいの地理感覚を掴んでいただけたかと思われます。





701年に文武天皇のもとで大宝律令が施行されたことで、日本は律令を国家統治の企保運法典とする、いわゆる ‘‘律令国家‘‘ へと成長したのでした。



公地公民を原則とする、中央集権的な体制が確立していった時代です。



それに伴い、飛鳥時代の末期から奈良時代の前半にかけて、律令制度や中央・地方の政治機構、行政区画など諸制度が整備されていったのですが、



その過程で、「やましろ」と呼ばれていたその地域を、平城京=古代政治の中心であった大和国から見て奈良山と呼ばれる山のうしろにあるということから、背後の「背」の字を取って「山背国」と呼ぶことにしたと言われています。





2.「山城国」と呼ばれるようになった契機は?


さて、以上の過程を踏まえれば、京都南部のあの一帯のことは「山背国」と表記するのが正しいようです。



しかし教科書では、「山背国はのちに ‘‘山城国‘‘ と呼ばれるようになった」との記述がみられるんですね。



「山城国」となったのはいつのことなのでしょうか。






答えは単純明快。794年 平安京遷都のときです。



先ほど述べたように、「山背国」という呼び方自体が、奈良・平城京を中心とした表現でした。



桓武天皇のことですから、自分が築いた新たな都が位置する地域が「背後」と呼ばれて気持ちのいいはずがありません。



‘‘新王朝‘‘としての威厳を大切にする桓武天皇からすれば、この名称は大変都合が悪いわけですね。



794年に桓武天皇が発した詔に、次のような箇所があります。



「此の国の山河襟帯(きんたい)にして自然に城を作す。斯の形勝に因りて新号を制すべし。宜しく山背国を改め山城国となすべし」



「やましろ」と呼ばれている京都南部の地域には、周りが山に囲まれていて、さらに大きな河川がいくつか流れているという地形的な特徴があります。



山が襟(えり)のように、河が帯のように取りまいて、敵からの攻撃を受けにくく、まるで自然に作られた城のようだという地形から、



平安京遷都のタイミングで桓武天皇が新たに、この地域を「山背国」から「山城国」へと改名し、これ以後後者の名称が使われることとなりました。



これが山背国→山城国への改名の真相です。




3.「山背国」「山城国」の違い・使い分けは?

さて、以上のことをまとめると、次のようになります。



・奈良時代に行政区画として「山背国」が置かれた。

・平安京遷都に伴い「山城国」へと改名された。



このことから、「山背国」も「山城国」も同一の地域を指している言葉であるため、

基本的には山背国=山城国と考えていただいて構わないということになります。



しかし、難関大を目指そうとする皆さまは、テストや入試の際には注意しなければなりません。



いくら同一の地域であると言っても、時代によってその名称が変わっているわけですから、テストや入試で問われた際には、やはり答え方にも違いが生まれます。



すなわち、奈良時代に関する問題で「やましろのくに」と答えさせるものが出た場合には「山背国」、平安時代以降の問題で「やましろのくに」と答えさせるものが出た場合には「山城国」と書かなければならない。



というわけですね。



大学の正誤基準によっては山背国と山城国を逆に書いても丸がもらえるのかもしれませんが、こればっかりは「時代に即した正解の方が無難」としか言えません。